これらの食材は、どこで入手できますか?
ジンジャー(生姜)はスーパーなどでジンジャー粉末として入手できますが、ジンゲロールやショウガオールの含有量が多いものほど、化学療法や放射線療法の際の増感効果や吐き気や嘔吐を抑える制吐効果が高いため、いわゆる”ウルトラしょうが”をおすすめします。
一例として、韓国の大田大学校によるシステマティックレビュー&メタ分析(Int J Mol Sci, 2022, 23(19), 12pages)において、ジンジャーは深刻な副作用なしに乳がん患者さんの化学療法誘発性の悪心・嘔吐を緩和することを明らかにしています。
ターメリックもスーパーなどで入手できますが、ターメリックのみではクルクミンの生体内利用率が低いため、少量の黒胡椒の主な生理活性成分ピペリンを一緒に摂るようにして下さい。
一例として、米国のセントラルミシガン大学の総説(Foods, 2017, 6(10), 11pages)によると、クルクミンにピペリンを少量加えると、ヒトでのピペリンの生体内利用率が20倍も高まります。
ニゲラサティバはブラッククミンオイルなどとして通販サイトなどで販売されていますが、このオイルは独特の薬っぽい味や香りがあるため、食品医学研究所では多くの方が簡単に摂れるようにチモキノンを5%以上含む粉末をハードカプセルに入れたものを商品化しています。
がん治療の補助として、これらの食材をすすめる理由は?
たとえば、メタボ(内臓肥満/高血圧/高血糖/脂質異常)を予防したり、改善したりするには機能性食品や特定保健用食品(特保)および医薬品が数多く出回っているため、ニゲラサティバ、ターメリック、ジンジャーが必須というわけではありません。
ところが、2人に1人ががん(悪性腫瘍)を発症する昨今、がん治療に化学療法や放射線療法または免疫療法を用いる際の補助として、かなりのエビデンス(科学的根拠)があるこれらの食材を摂取すれば、治療効果を高められる可能性とともに副作用を少なく抑えられ、がん患者さんの生活の質の向上が期待でき、つらい思いを少なくできると考えたからです。
がん治療の補助として、これら3食材の他にお薦めの食材はありますか?
はい、あります。
それは、ハチミツです。
ハチミツは免疫賦活作用と言って、免疫調節機能を高める働きがあります。
ハチミツに含まれるポリフェノール(主にフラボノイド)やフェノール酸には、in vitro(試験管内実験)やin vivo(動物実験)においてですが、免疫機能を最適な状態にもたらす働きがあり、がんの化学療法(主に抗がん剤)や放射線療法の治療効果を補助的に高める働きが分かっています。
また、放射線療法の際に口腔粘膜症という副作用が問題になりますが、ハチミツはこれを抑えることが可能で、がん患者さんの生活の質(QOL)の向上が期待できます。